真珠の取引現場では、「この真珠はマキが良い」「巻き厚感がある」と表現し真珠を評価します。 「マキが良い」とは、真珠層の巻きが厚いということを意味しています。
真珠層の巻きの厚さについて真珠のプロは、経験をもとに目視で判断しているのです。
これらを鑑定という観点で見た場合はどうなるでしょう。
「巻きの厚い真珠=良い真珠」ではありますが、巻きの厚さだけで真珠の良し悪しが評価されるわけではありません。
それは、真珠層が厚いからといって、必ずしもテリ(光沢)が良いわけではないからです。
一般的なアコヤ真珠の場合、真珠層は厚さ0.4ミクロン前後の炭酸カルシウム結晶シートが何百枚、あるいは何千枚と積み重なった状態でできています。
その一枚一枚の層が厚ければ総合計では厚くなります。
しかし、あまりに厚い結晶シートが重なって出来ている真珠や、真珠層の厚みが一定ではない真珠は、光の透過や屈折が最良の状態にならず、きれいに見えない場合があります。
逆に真珠層全体の巻きは厚くはなくても、結晶シートの一枚一枚が薄く、一定の厚みで積み重なっていると強い光沢になります。
このようなことから、「マキ」とは単に真珠層の厚さだけを云うのではなく、真珠層をつくる結晶の積み重なり方や緻密さも含めて表現されています。
数値だけでは表せないのが真珠の魅力の一つです。